ディベートやったことがない人には一度は意識して欲しい。ディベートやったことがある人にとっては当然のことで、忘れていることがないか確認して欲しい。非・合理的になりやすいポイントがたくさん書かれていて、自分の行動を振り返って考えやすい。また、そこから合理的に考えるにはどうしたらよいか、ということもきちんと書かれている。 1章 イメージで物事を判断していませんか? 2章 それは本当に、正しい証拠? 3章 その数字の読み解き方、間違ってます! 4章 「原因と結果」のねじれ 5章 納得できる結論にたどり着くために

1章 イメージで物事を判断していませんか?

「合理的」という言葉は、一般的に「道理や論理にかなっている」という意味で使われます。それに照らし合わせると、合理的な思考は、コンサルタントの方がよく使う「ロジカルシンキング」に近いものでしょう。ただ、いくら論理的に正しくても、前提となる情報の読み方が間違っていたら、方向がおかしくなってしまいます。そう考えると、ロジカルに物事を考える土台として、情報の質を見極める力(いわゆる情報リテラシー)も必要になってきます。また、いくら論理的に正しくても、答えが非現実的で実行困難であれば意味がありません。(中略)机上の空論ではなく、現実に立って思考する力です。本書では、そうした総合的な思考力を「合理的な思考」と呼ぶことにします。
まずこの定義からして非常にありがたいです。ちょっと前に書いた『【本】仕事ができる人の論理的に考え、書く技術』もそうだけど、合理的とか論理的とかいう言葉の意味って実はきちんと定義しておくべき重要なものだと思う。 この章ではほかに ・経験に対する対処法 ・マスメディアに対する対処法 が書かれているがどちらも非常に簡潔(簡潔すぎてこれを厳密に運用しすぎると日々の生活に迷って迷って困るかもしれない)

2章 それは本当に、正しい証拠?

証拠には 経験的根拠 科学的根拠 とがある。この章ではまずこれらについて 第1章でも用いた『以前は経験的に正しいだろうと思われていた治療法である、心筋梗塞の患者に対しては早めに不整脈を抑える薬を処方することで不整脈をおさえてから、心筋梗塞を治療するという方法。これが実は科学的には不整脈治療をしてから心筋梗塞の治療を行なった患者グループのほうが死亡率が高いと研究結果によって判明した。』という例を用い、ポジティブな経験が先入観をつくりだして、合理的な思考を阻む場合がある、ということが書かれていた。 そしてさらにそれならば『科学的根拠ならすべて信用できるか?』と続く。 科学的根拠にはその内訳として『理論的根拠』と『臨床的根拠/実証的根拠』とがある。そして、本著では
世の中には「理論的に正しいはずだが、じっさいにやってみるとうまくいかないこと」がたくさんあります。
として科学的根拠の中にも理論的に正しいと言われていることは現実社会で正しいかわからない、としている。 ・もっともらしいことほど疑う ・常識=真実ではない 情報バイアス 選択バイアス 交絡バイアス バイアスに気づいたらその分を差し引いて考える 非常に笑ったのは「欧米人の好むのは『効く薬』。日本人が好きなのはは『副作用のない薬』」というブラックジョーク。間違いないwww
本来、リスクはベネフィット(利益)と比較して考えるべきです。
私も間違いなくそう思います。(そしてディベートというのはまさにこのプロセスを具現化したものです。勝敗はNet-Benefitで決まるし。) それからありがたいことにリスクを過大視しがちなチェックリストが載ってました。
リスクを過大視する10のケース 1、意図せず受ける(大気汚染など) 2、不平等な分布(ある人には利益、ある人には被害) 3、各人で予防策をとっても逃れられないとき 4、なじみがなかったり、新たな原因から生じる 5、天然より人為的な原因から起こる 6、隠れていて不可逆的な損失(曝露後、何年も経って生じる疾患) 7、子供や妊婦といった将来世代に、より危害を引き起こす 8、特に恐怖を呼び起こすのは、死亡、病気やけが 9、匿名より身元確認できる被害者への損害 10、信頼できる複数の情報源から矛盾する報告が出ている
まさにこういう部分は意識して、非合理的な思考にハマらないようにしなきゃいけないなー、という感じです。さらにさらにさらにありがたいことに、『ABCDE』というチェックしやすいように著者がフレームワーク的に示してくれていました。
Available(利用可能な) Best(最良の)きちんと因果関係を検証できている Clinical(臨床の) Current(現在の) External(外部の)内部からの情報は当事者性が強く、個人の内的経験と同じく様々なバイアスが生じているおそれがあります。
このへんはディベートで証拠資料を用いるときに注意していることにそっくりですね。

3章 その数字の読み解き方、間違ってます!

数字のフレーム効果のはなし。情報バイアスの一種であるフレーム効果とは「同じ数字でも、その使い方や示し方によって、人が受け止めるイメージが変わ」るというものこれを防ぐためのポイントとしては ・適切なものを分母として考える ・何が、どうなったのか ・相対値か絶対値か ・パーセンテージを具体的な数字に直して考えてみる などなどが挙げられてました(本文中にはもっとたくさんあります)

4章 「原因と結果」のねじれ

ここでは以前このブログでも述べたことがあるような、因果関係と相関関係について具体的に噛み砕いて書かれていました。みんなが因果関係だと思っているものが、実は相関関係で、相関関係ということは全くの無関係だったり、交絡因子が存在している場合があるんだよ、という非常にオーソドックスだが、日常生活において『ハマりやすい』点。   読み終わってみて、総て一定程度ディベートをやっている過程で身につけていった思考方法だなあ、と思いました。でもきっと、ディベートをやったことがない人は、しょっちゅうこういう思考になっています。常識が正しくないなんて『日常的に意識している人』、どれくらいいますか?? そしてディベーターにとっても読む価値のある本だと思います。なぜなら、一通り知っていることは即ち体系だてて自分の血肉となっている・・・ことにはならないからです。 かくいう私も、かなり『あー・・・そうだった、でも最近忘れてた、ヤバイな・・・』って内容ありました。 ひとまず気になったらまずは書店で立ち読みでもしてみたらいいかな?って本でした♪